■『神戸を読む』藤井康生 / 晃洋書房 2300円+税
 著者は、関西外大教授(フランス文学)、大阪市大名誉教授。
 「神戸」という都市にどんなイメージをもってはる?他の近畿地方の県庁所在地と比べると歴史の重みは、ない。思いうかぶのは、港、異人館、ファッション、洋菓子……。古い神社やお寺もあるし、万葉や平家にゆかりもあるが、それらは都市を形成する力にはならなかった。著者によれば、「近代日本の発展と連動する装置を持って初めて神戸は都市になった」――明治維新後の港と居留地の建造、それに湊川神社の創建だ。脱亜入欧のシンボルと国粋的神社、「当初から矛盾した装置を抱え込んでいた」。人が集まる=都や宗教の聖地や交通の要所、というような都市形成とはちがい、「かなり人工的に作られたことになる」。
 多くの作家が「神戸」を小説やエッセイに書いている。「幻想都市」「災害都市」「皇国都市」「両面都市」「混迷都市」など、さまざまな顔を持つ「神戸」を読む。


■『DVD 震災復興のあゆみ〜あの時といま〜』監督 青池憲司 / 制作・販売 野田北ふるさとネット 2000円(税込)
 長田区野田北地区はJR鷹取駅南東、妹尾河童『少年H』の舞台の一部。阪神・淡路大震災では、家屋の3割が全焼、7割が全半壊、死者41名という大きな被害を受けた。
 映像は、震災10日後から撮影したものに、区画整理事業、現在の様子など33分にまとめる。ナレーションは西條遊児さん。詳しくはhttp://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/0001830217.shtmlを。取り扱いは海文堂だけだと思うけど、間違っていたらご容赦を。


(平野)